分断がテーマのバックパック旅 その4.5日目:ユダヤ教、キリスト教、イスラム教についてゆるく解説
今回は宗教と歴史の話。
長ったらしいかもしれないが、この旅行記を読むのが少し楽しくなるかもしれないから我慢してクレメンス。
私が旅行しているイェルサレムは、「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」3つの宗教の聖地だ。
一見無関係に思える3つの宗教がなぜイェルサレムという小さな街に聖地を持っているのか。その説明をする。
というかいっそのことこれらの宗教について解説してやる。
覚悟しろ、この記事の文字数は3500文字だ。
概要
古代イスラエル王国に発祥し、唯一神「ヤハウェ」を信じる一神教である。ユダヤ教を信じる人とその血筋=ユダヤ人を神から選ばれた選民とみなし、救世主(メシア)の到来を信じる宗教。
歴史を遡ると、紀元前11世紀にパレスチナ(イェルサレムがあるあたりの地域は歴史的に「パレスチナ」と呼ばれていた。)にユダヤ教信仰者=ユダヤ人が住んでおり、ヤハウェを崇拝する神殿を建てたりしていた。
まあこの頃から外の国からちょっかいを出されて国を滅ぼされたり、神殿を壊されたり、迫害されたりと散々な目にあっていた。
その中で「自分たちユダヤ人だけが選ばれし民族なんだ」といった選民思想や、「救世主が現れて我々を救ってくれる」といったメシア思想が強くなったと考えられている。
紀元前500年ごろになると自分たちを迫害していた国が滅びて自由になった。
ユダヤ人たちはパレスチナに戻り、また神殿を建てなおしたりしたが、最終的にはローマの支配下に置かれるようになった。
(このあたりでキリストが現れる。後述)
ローマは宗教の自由を保障していたので、ユダヤ人たちはある程度自由にさせてもらっていたのだが、西暦1世紀あたりになるとユダヤ人に対する税金がキツくなったり、宗教的な自由を制限する動きが出てきたため、ローマに対する反乱が起こった。
その結果、せっかく建て直した神殿をローマ軍に破壊されたり、ついにはパレスチナを追放されることになってしまった。
そこからユダヤ人は世界各地に散らばりながら生活を送ることとなった。
それからの彼らの歴史も悲惨なもので、世界各地で、後述するキリスト教に迫害されるため、ユダヤ人はまともな職に就くことが難しかった。
そのため当時は卑しいとされていた金貸し業をするしかなかったらしい。
その結果ユダヤ人にお金持ちが多くなり、ますます嫌われるようになった。
借りる方も借りる方だろ。
富豪や実業家にユダヤ人が多いのはこの歴史が関係するとかしないとか。
迫害を受ける中で、ユダヤ人たちは世界各地でコミュニティを築き
「いつか救世主が現れて俺たちを導いてくれるだろう。その時は絶対パレスチナに戻って、俺たちの国・・・イスラエルを取り戻そう」と心に誓いながら生活をしていた。
みんなから嫌われていたユダヤ人だが、20世紀、卍 ひげのおじさん 卍が現れたことでますますやばいことになる。
ホロコーストによるユダヤ人の死者は600万人と言われている。
第二次世界大戦後、国際世論が「さすがにユダヤ人たちかわいそうだよね。いままでいじめててごめんね。」あと戦争するときにユダヤ人の富豪からめっちゃお金借りたから、恩返ししないと怖い目に合いそうだよね。
となり、パレスチナ地域にユダヤ人のための国を作ってあげることにした。
その時にできたのが、イスラエルだ。
イスラエル建国するときに、もともとパレスチナに住んでいたアラブ人(≒イスラム教徒)を無理やり追い出したりした。
この地域に住んでいたアラブ人たちは自分たちが住んでいた場所をパレスチナ国だとし、イスラエルを認めていない。お互いにイェルサレムが自分たちの国の首都だと言い張っている。
そんな背景があるから国際的にはイスラエルの首都はテルアビブということになっているのだが、Google君はイスラエルに忖度している模様。
まとめると、
・ユダヤ人が建てた国がイスラエル。建国の際にパレスチナと揉め、現在に至る
概要
紀元後30年ごろ、イエスが十字架に架けられた後、3日後に復活したことを信じ、キリスト(救世主を意味する)とあがめる宗教。その直後から少数の信者団体である原始キリスト教団が生まれた。後に、イエスが生まれた年はキリスト紀元とされ、現在の世界基準の年代表記となっている。
紀元前後にローマの支配下にあったユダヤ人の中に、イエスという青年がいた。
だが、ユダヤ教の選民思想とか、ユダヤ人界隈が内輪ネタで盛り上がってるのに対して反対意見を述べるようになる。
「神様はユダヤ人だけじゃなくて、神を信じる人ならだれでも救ってくれるって言ってたよ。」
とか言って街を歩き始めるようになる。
イエス本人のぐう聖っぷりもあって、いつしかイエスを囲う集団が形成されるようになった。
イエス自身は「新しい宗教つくったろ!」という訳ではなく、「神様は新しいことを言っている。俺はその声が聞こえるから代弁しているだけ」というスタンス。
しかしイエスの活動は、選民思想でホルホルしているユダヤ教の偉い人からすると、
「パっと出の若者がなんか神が言ったこととして大嘘ついて回ってユダヤ教を悪い方に導いてる!けしからん!」
という気持ちになる。反感を買ってしまったのだ。
そして、イエスが力を付けて教会の権威が脅かされることを恐れたユダヤ教の司祭と、同じくイエスの集団が反乱の分子になることを恐れていたローマ帝国は組み、
紀元30年ごろ、イエスはイェルサレムにある「ゴルゴダの丘」で十字架に磔にされ処刑された。
ちなみに、十字架の刑はローマで死刑をする際のスタンダードな形式だった。
その後、イエスが復活したとか、弟子がイエスの教えを人々に広めたりといろいろあり、
「もしかして、この前死刑にされてたイエスって実は救世主だったんじゃね・・・?」
と人々は思うようになる。
※「キリスト」とは救世主という意味
キリスト教は、「ユダヤ人しか勝たん」なユダヤ教と違って、「神様を信じたらみんな救われるんやで~」の精神なので、めちゃくちゃ受けがよく世界中に広まった。
まとめると、
・「神を信じれば誰でも助けてもらえるやで」の教えで世界中に信者を獲得
・ユダヤ教的には「イエスは救世主ではないし嘘つき!神様は"ユダヤ人しか勝たん"って言ってるもん!キリスト教なんで邪道!」というスタンス
イスラム教
概要
イスラム教(イスラーム)は、現在のサウジアラビアを発祥地とし、唯一神アッラーへの絶対的な服従を説く一神教の宗教。7世紀の初頭、神から啓示を受けた最後の預言者とされるムハンマドによって創始された。
唯一神アッラーって言ってるし、ユダヤ教とキリスト教との関係ってなくね?
と思うかもしれないが、この神「アッラー」はユダヤ教の神「ヤハウェ」と同じ神様のとこ。呼び方が違うだけで同一なのだ。
なので、ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も、同じ唯一神を信じる宗教として共通している。
前述の2つの何が違うのかというと、めちゃくちゃざっくり言うと。イスラム教は
「神様のお言葉の最新版やで~」というもの。
これが唯一神の教えの最新版。そしてこの先のアップデートはないらしい。だからこの教えの通りに生きような
と言っているのだ。
そして神様の教えを人々に広めたムハンマドは、イェルサレムで昇天したらしい。
このムハンマドの教えがまあサウジアラビアを中心とした中東でバスった。パレスチナに住んでいるアラブ人たちにもね。
イスラム教のスタンスでは、神様の意お告げを聞いてイスラム教の開祖となったムハンマドは「最後にして最大の預言者」
「な~にが最後にして最大の預言者じゃ!神様がそんなこという訳ねーだろバーカ!うそうそ!」
といって認めてない感じ。
そんな感じで、それぞれの宗教が
神様の教え_原本.txt
神様の教え_こっち使え.txt
神様の教え_最新版_いじるな.txt
みたいになってしまった。
まとめると、
・2つの宗教を踏襲しつつ「俺たちの宗教が神様の教えの最新版な」というスタンス。
・・・長くなってしまったが、以上で解説を終わりにする。
イェルサレムにはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3つの宗教の聖地が数多くある。
次回からは、それらを見ていこうと思う。